- TOEFLスピーキングで、何をどこまでメモすればいいのか分からない
- メモを取っていると音声を聞き逃す、でもメモがないと忘れる——このジレンマを解消したい
- 2026年の新形式に合わせた、タスク別のメモの型と練習方法を知りたい
結論から言うと、今のTOEFLスピーキングのメモは「速く書く技術」より「思い切って絞る技術」です。書く量を減らすほど耳と口に集中でき、かえって話せるようになります。とくに2026年1月の新形式では、旧形式のような「30秒の準備時間でメモから逆算する統合型タスク」が無くなり、スピーキング内でメモが活躍する場面はむしろ減りました。
この記事では、新形式の各タスク(Listen and Repeat / Take an Interview)でメモをどう扱うか、短く見返せる略語・記号の作り方、そして「メモを取ってから声に出す」練習手順までを一記事にまとめました。読み終えるころには、書きすぎて聞き逃す失敗を避け、数語のメモから落ち着いて話し切る道筋が見えているはずです。
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そもそも新形式でメモはどれだけ必要か
まず前提を揃えます。会場受験のTOEFL iBTでは、公式に全セクションでメモを取ることができます。ですが「取れる」ことと「取るべき」ことは別問題です。
出典: TOEFLテスト日本事務局「よくある質問」
TOEFLスピーキングのメモが効くかどうかは、結局のところ聞き取れているかにかかっています。聞き取れていない内容はメモにも残せませんし、残せてもそれは音のかけらでしかありません。メモは「聞く力」と「回答の型」があって初めて武器になる補助ツール——これがこの記事の土台です。
そして重要なのが、2026年1月の改定でスピーキングの中身が変わった点です。今のスピーキングはListen and Repeat(7問)とTake an Interview(4問)の計11問・約8分で、旧来の0〜30点ではなく1〜6のバンドスケール(0.5刻み)で採点されます。旧形式にあった「読む→聞く→30秒準備→話す」の統合型タスク(Integrated)は廃止されました。つまり、ネット上で見かける「TOEFLスピーキングのメモ術」の多くは旧形式前提で、そのままは使えません。
新形式に合わせてざっくり整理すると、次のようになります。
| 新形式タスク | メモの出番 | 理由 |
|---|---|---|
| Listen and Repeat(7問) | ほぼ無い | 音声直後の短い時間で即リピート。書く暇がなく、書くと再現が崩れる |
| Take an Interview(4問) | 少しだけ効く | 質問に答える直前・話す間に、立場・理由・例を一言で残せる |
図にすると、2つのタスクでメモの立ち位置は正反対です。前半のListen and Repeatはメモを使わず、後半のTake an Interviewでだけメモが武器になります。

各タスクの形式そのものを詳しく確認したい場合は、まずピラー記事で全体像をつかんでおくと、この後のメモの話が入りやすくなります。
本番のメモ環境(会場では紙と鉛筆が支給される)
「PC受験なのにメモは紙?」という疑問はよくあります。会場(テストセンター)でTOEFL iBTを受ける場合、メモ用紙と鉛筆は会場側から支給されます。自分の紙や筆記具は持ち込めません。試験の途中で用紙が足りなくなったら、試験官に頼めば追加のメモ用紙をもらえます。
出典: ETS公式「Testing Policies and Procedures」
一方で、書いたメモは持ち帰れません。試験終了時にはメモ用紙をすべて試験官に返却する必要があり、破ったり一部を持ち出したりするのは禁止です(違反すると失格・スコア無効の対象になります)。要するに、道具は用意され、メモは会場内で完結する——ここは心配しなくて大丈夫です。
出典: ETS公式ポリシー/TOEFL iBT Information Bulletin
だからこそ実務上のポイントはシンプルです。用紙も鉛筆も支給される前提で、きれいに書き直す発想は捨て、記号と省略で一発書きにする。これが結果的にいちばん速く、聞く時間も守れます。
英語講師 | TOEIC 980 / TOEFL iBT 106 / IELTS 7.5(CEFR C1)/ 海外大学院合格
Saki講師として見てきて多いのが、聞こえた文を一語ずつ丸ごと書き取ろうとして、ペンが止まった瞬間に音声を見失うパターンです。書くのは意味のある単語(名詞・動詞)と記号だけ。冠詞や前置詞は思い切って捨てましょう。判断基準は「あとで自分が読めるか」。読めない・再現できないメモは、どれだけ量を書いても0点と同じです。
新形式タスク別・メモの取り方
Listen and Repeat(7問)はメモに頼らず「意味の塊」で保持
Listen and Repeatは、流れてきた英文をそのまま声に出して再現するタスクです。名前はシンプルですが、実際はかなりの鬼門で、後半になるほど文が長く複雑になります。公式によれば、「文を暗記して再生する力」ではなく「聞いた英語をその場で理解し、正確かつ流暢に話す力」を測るものとされています。
出典: TOEFLテスト日本事務局
メモを取る隙はほぼありません。 音声が終わると数秒〜十数秒で録音が始まるため、書いている時間はなく、書こうとすると再現そのものが崩れます。だから対策は「メモ」ではなく意味の塊(チャンク)で聞いて、情景をイメージごと保持することに寄せます。
たとえば次のような文が読み上げられます。
- 短文レベル: "The museum is free on Sundays."(博物館は日曜日は無料です。)
- 中級レベル: "The library will be closed for renovation until next Monday."(図書館は来週の月曜日まで改装工事で閉館します。)
- 長文レベル: "Although the professor assigned a lot of reading this week, most of it will be covered in the next lecture."(教授は今週たくさんの読書課題を出しましたが、その大半は次回の講義で扱われます。)
長文レベルを一語ずつ覚えようとすると必ず崩れます。そうではなく、「Although+課題を出した」「けれど+次の講義でカバー」のように、3〜4語のかたまり+つながりの論理で保持します。長い英文を丸ごと記憶して完全再現するのは上級者でも難しく、「音を丸ごと覚える」より「内容を理解して英語を組み直す」方が現実的だからです。

評価も、一言一句の完璧さより英語としての自然さ(リズム・イントネーション・意味の区切り)を重視します。機能語(a / the / in など)が1〜2個抜ける、類義語に置き換わる(start→begin)、語順が少し前後する、途中で言い直す——この程度は高評価の範囲に収まると言われます。目指すのは完璧なコピーではなく、文のリズムを止めずに意味を伝えきることです。
では、このタスクで「書く」場面はゼロかというと、例外が1つあります。音として保持しにくい情報(数字・曜日・固有名詞)だけは、聞いた瞬間に一文字でも走り書きしておくと安全です。「9時」なら 9、「月曜」なら Mon の一瞬だけ。それ以外を書こうとした時点で、あなたの耳は音声から離れてしまいます。
音の保持・再現そのものを鍛えたい場合は、勉強法の総論側でシャドーイングや短文復唱の位置づけを確認しておくと、練習が迷子になりません。
Take an Interview(4問)はメモが効く。立場・理由・例を一言で残す
Take an Interviewは、画面の面接官からの質問に、自分の経験や意見をその場でまとめて答えるタスクです。1問あたりの回答時間は45秒ほどで、前半は個人的な経験、後半は社会的なテーマへの意見を問われる傾向があります。ここが、新形式でメモが少しだけ効く場面です。
とはいえ、書くのは長文ではありません。準備時間も話す時間も短いので、立場・理由・例を「単語+記号」で1行に凝縮します。質問タイプ別に、残すべき最小限は次の通りです。
| 質問タイプ | 残すメモ(記号中心) | 話す骨組み |
|---|---|---|
| 意見型(〜についてどう思う?) | ○ or × + 理由キーワード ①② | 立場 → 理由1 → 理由2(+例) |
| 経験型(〜した経験は?) | 時 + 出来事 + 感情 | いつ → 何が起きたか → どう感じたか |
| 習慣型(普段どうしてる?) | 頻度 + 行動 + 理由 | 頻度 → 具体的な行動 → 理由 |
実際の質問で見てみましょう。まずは意見型です。
- 質問: "Do you think students should be allowed to use smartphones in class?"(授業中に生徒がスマホを使うのを許可すべきだと思いますか?)
- メモ例(3語だけ):
× / distract / no notes - 回答例: "No, I don't think so. For one thing, phones can distract students during the lesson. Also, if they always rely on phones, they may stop taking their own notes."(いいえ、そうは思いません。1つには、スマホは授業中に生徒の気を散らします。それに、いつもスマホに頼っていると、自分でノートを取らなくなるかもしれません。)
実際に本番のメモ用紙に走り書きするイメージは、こんな具合です。きれいに書く必要はまったくありません。

メモは3語でも、そこから「立場→理由2つ」に展開すれば十分に整った回答(full answer)になります。逆に、思いついた順に長い前置きから話し始めると、45秒の途中で着地点を見失って沈黙してしまいます。
NG回答
No, I don't.
高スコア回答
No, I don't think so. For one thing, phones can distract students during the lesson. Also, if they always rely on phones, they may stop taking their own notes.
経験型・習慣型も同じ発想です。
- 経験型の質問: "Tell me about a place you enjoyed visiting."(訪れて楽しかった場所を教えてください。)
- メモ例:
Kyoto / temples / calm - 回答例: "I really enjoyed visiting Kyoto. I saw many old temples, and the quiet streets made me feel calm and relaxed."(京都を訪れたのがとても楽しかったです。古いお寺をたくさん見て、静かな通りのおかげで穏やかでリラックスした気分になれました。)
- メモ例:
- 習慣型の質問: "How often do you read books, and what kind?"(どのくらいの頻度で、どんな本を読みますか?)
- メモ例:
2-3/wk / novels / relax - 回答例: "I read about two or three times a week, mostly novels, because reading a story helps me relax before I go to bed."(週に2〜3回、たいてい小説を読みます。物語を読むと、寝る前にリラックスできるからです。)
- メモ例:
意見の中身は本心でなくてかまいません。話しやすい立場を選び、理由を2つでっち上げるくらいの割り切りでOKです。TOEFLが測るのは意見の正しさではなく英語力なので、メモも「正しい主張」ではなく「話しやすい骨組み」を残すのが正解です。設問の型と回答例をもっと数多く見たい場合は、例題集にあたってください。
短く見返せるメモの技術と略語・記号の一覧

タスク別の方針が決まったら、あとは「速く書いて、あとで読める」道具を揃えます。メモは点数そのものにはなりません。だからこそ、書く時間を最小にして、聞く・話すに時間を回すのが目的です。
そのまま使える略語・記号一覧
100人いれば100通りですが、まずは次の5つを「自分の共通語」として決めておくと、迷いが消えます。自分が読めることが唯一の原則です。
| 記号・略語 | 意味 | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| ○ / × | 賛成・反対(立場) | 意見型の立場 |
| → | だから・結果・因果 | 理由から結論へのつながり |
| ① ② | 1つ目・2つ目(理由や例) | 理由・具体例の番号づけ |
| 数字・固有名詞のみ | 音で保持しにくい情報 | 一瞬だけ書き取る |
| 略記(info / gov など) | 長い単語を短く | 書く時間の短縮 |
念のためですが、この一覧はあくまで一例で、ルールではありません。ここに挙げた記号を守る必要はまったくなく、自分が一番読みやすい記号を自由に決めてかまいません。矢印を → にするか ⇒ にするか、賛成を ○ にするか Y にするかは、完全にあなたの好みでOKです。大事なのは記号の正しさではなく、あとで自分が見返して読めることだけ。使いながら、自分にしっくりくる「自分の記号」に育てていってください。
書くときのコツは3つです。
- 英語で書く。カタカナに直そうとすると、その間に音声が終わります。スペルは間違っていてかまいません。
- キーワードだけ書く。主語は前後から補えることが多く、冠詞・前置詞は捨てます。
- 「あとで自分が読めるか」を基準にする。きれいさは不要、再現できるかがすべてです。
良いメモの基準は「量」ではありません。そのメモを見て、質問の要点や自分の回答の骨組みを口で再現できるか。それができれば、数語のメモで十分に機能しています。
メモを取ってから声に出すまでの練習手順
メモの解説で終わる記事は多いですが、メモは声に出して初めて点になるものです。ここでは「メモ→発話→録音→自己チェック」の反復を、回数と時間の目安つきで具体化します。恥ずかしくても録音は効きます。自分の声は、聞いてみないと癖が分からないからです。
流れは、次の4ステップをぐるぐる回すだけです。

Take an Interviewの練習手順(1問あたり2〜3分):
- 例題を1問選び、本番と同じつもりでメモを1行だけ書く(記号中心・10〜15秒)。
- メモだけを見て、45秒を目安に声に出して録音する。原稿は見ない。
- 録音を1回だけ聞き返す。観点は3つに絞る——①結論(立場)を先に言えたか ②詰まって沈黙しなかったか ③早口・一本調子になっていないか。
- 気づいた1点だけ直して、同じ問題をもう1回録音(1問につき2〜3回)。
- これを1日3〜5問・5〜10分を目安に続ける。
Listen and Repeatの練習は別立てにします。短い英文を「メモなしで、意味の塊で復唱」する。音声を1文聞いて止め、頭の中で情景を描いてから声に出す——これを1日5分。ディクテーション(書き取り)ではなく、あくまで音と意味の保持を鍛えるのが狙いです。
観点を「明瞭さ」よりスピードと結論ファーストに絞ると、録音レビューは一気に楽になります。録音すると、自分が思った以上に早口だったり、トーンが一本調子だったりすることに気づけます。気づければ直せる。それが独学でスピーキングを伸ばす一番の近道です。

人に反応してもらいながら話すオンライン英会話と、AIに向かって何度も反復・採点する練習は、役割が違うだけでどちらも効きます。前者は本番に近い臨場感、後者は回数と即フィードバック——両方を使い分けるのが現実的です。アプリで練習を組み立てたい人は、TOEFLスピーキングアプリの選び方もあわせて検討してみてください。
よくある質問
TOEFLスピーキングでメモは取れますか?
はい、取れます。会場受験では公式に各セクションでメモを取ることができ、会場で紙(メモ用紙)と鉛筆が支給されます。自分の紙や筆記具は持ち込めません。足りなければ試験官に頼めば追加をもらえますが、書いたメモは試験後にすべて回収され、持ち帰れません。ただしスピーキングでは、Listen and Repeatはほぼ書く時間がなく、Take an Interviewで立場・理由・例を一言残せる程度です。
出典: ETS公式「Testing Policies and Procedures」/TOEFL iBT Information Bulletin
メモを取ると音声を聞き逃してしまいます。どうすれば?
書く量が多すぎるサインです。意味のある単語(名詞・動詞)と記号だけに絞り、冠詞・前置詞は捨てましょう。とくにListen and Repeatは、書くより「意味の塊で聞いて保持する」方が再現性が上がります。数字・曜日・固有名詞など、音で覚えにくいものだけ一瞬メモするのがコツです。
メモをきれいに取れば点数は上がりますか?
メモ自体は採点対象ではありません。あくまで聞く・話すを助ける補助です。「見返して回答の骨組みを口で再現できるか」が良いメモの基準で、きれいさは関係ありません。最終的に点になるのは、メモではなく実際に声に出した英語です。
採点はどう変わりましたか?
0〜30点ではなく、1〜6のバンドスケール(0.5刻み)に変わりました。移行期はスコアレポートに旧来の0〜120換算やCEFRが併記されることがあります。換算の細部は目安なので、最新は公式で確認してください。採点基準の詳しい読み方は、ピラー記事や採点基準の記事で解説しています。
まとめ
TOEFLスピーキングのメモは、速く書く技術ではなく思い切って絞る技術です。新形式では、Listen and Repeatはほぼメモを取れず「意味の塊で保持」、Take an Interviewは「立場・理由・例を一言+記号で残す」——この切り分けが起点になります。
この記事の要点は次の通りです。
- メモは手段。土台は聞く力と回答の型で、メモはそれを補助するだけ
- Listen and Repeat=書く隙なし・チャンクで保持(数字/固有名詞だけ一瞬メモ)
- Take an Interview=立場・理由・例を記号中心に1行で。意見は話しやすい立場でよい
- 良いメモの基準は「見返して再現できるか」。意味のある単語+記号に絞る
- 旧形式の統合型メモ術(30秒逆算)は廃止。普遍的な部分だけ引き継ぐ
- 仕上げはメモ→発話→録音→自己チェックの反復。1問2〜3回、1日3〜5問が目安
まずは意見型の例題を1問選び、メモを1行だけ書いて45秒で録音してみてください。書く量を減らすほど、耳と口に余裕が生まれます。メモは「点にするための下書き」——最後は必ず声に出すところまでを1セットにしましょう。






