留学を考え始めて最初にぶつかる疑問が「どれくらいの英語力が必要なのか」です。TOEFLやIELTSで何点取れば出願できるのか、国や学部で違うのか——基準が見えないと、対策の計画も立てられません。
この記事では、留学に必要な英語力をスコアの目安で整理し、留学タイプ別・国別・難関大の例まで早見表でまとめます。さらに「出願の足切り点」と「実際に授業についていける力」の違いまで踏み込みます。
- 留学に必要な英語力の目安:学部留学=iBT 61〜80/IELTS 5.5〜6.5、大学院=iBT 80〜100/IELTS 6.5〜7.5、難関大=iBT 100+/IELTS 7.0+(いずれも目安)
- ただし「出願の足切り点」と「実際に授業についていける力」は別物。足切り点だけ見て安心しないこと
- スコア要件は大学・学部・年度で異なるため、必ず各大学公式の最新要件を確認する
- TOEFLは2026年改定で1〜6バンドが主・0〜120スコアは移行期(〜2028年目安)まで併記。本記事もバンドと旧スコアを併記します
留学タイプで必要な英語力は変わる
留学と一口に言っても、求められる英語力はタイプによって大きく変わります。まず自分がどのタイプを目指すのかを決めると、目標スコアがはっきりします。
語学留学:スコア不要のことが多い
語学学校に通う語学留学は、英語を「学びに行く」場所です。入学時にTOEFLやIELTSのスコアを求められないことが多く、初心者でも始められます。ただしクラス分けのために、簡単なレベルチェックを受ける場合はあります。
目的は資格取得ではなく、日常の英語に慣れることです。だからスコア要件はゆるい一方で、伸びを客観的に測りにくいという面もあります。
学部留学(学士):iBT 61〜80が目安
海外の大学に正規入学して学士号を取る留学です。授業を英語で受けるため、一定の英語力が前提になります。目安はiBT 61〜80、IELTS 5.5〜6.5あたりです(移行期はこの0〜120スコアで判断するのが確実。バンド換算は後述の早見表をあくまで目安に)。
大学院留学(修士・博士):iBT 80〜100が目安
専門分野を英語で深く学ぶため、学部よりも高い英語力が求められます。目安はiBT 80〜100、IELTS 6.5〜7.5です。読む量・書く量が多く、ディスカッションも増えるため、運用力が問われます。
研究計画書や論文を読みこなす力も前提になります。出願時のスコアはあくまで入り口で、入学後はさらに高い読解・記述のスピードが必要です。
交換留学:在籍校と派遣先の二重基準
大学に在籍したまま協定校へ一定期間通う留学です。自分の大学の選考基準と、派遣先大学の語学要件の両方を満たす必要があります。学内選考でTOEFL/IELTSのスコアを使うことが多いです。
留学タイプ別スコア早見表
タイプ別の目安をまとめました。スコアはあくまで目安で、同じタイプでも大学・専攻によって幅があります。

| 留学タイプ | TOEFL iBT(目安) | IELTS(目安) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 語学留学 | 不要なことが多い | 不要なことが多い | クラス分けテストはある場合あり |
| 学部留学(学士) | 61〜80 | 5.5〜6.5 | 大学・専攻で幅が大きい |
| 大学院留学(修士・博士) | 80〜100 | 6.5〜7.5 | 読む・書く量が多い |
| 難関大・人気専攻 | 100+ | 7.0〜7.5+ | セクション別の下限も要確認 |
| 交換留学 | 61〜80前後 | 5.5〜6.5前後 | 在籍校+派遣先の二重基準 |
スコアは目安です。大学・学部・年度で異なるため、必ず公式の最新要件を確認してください。
国によって使うテストの傾向が違う
どのテストが使われやすいかは、留学先の国によって傾向があります。志望国が決まっているなら、その国で主流のテストから準備を始めると効率的です。
| 国 | よく使われるテスト | 傾向・メモ |
|---|---|---|
| アメリカ | TOEFL中心(IELTS可の大学も増加) | 大学数が多く要件の幅が広い |
| カナダ | TOEFL・IELTSとも広く可 | 大学院はIELTS指定も多い |
| イギリス | IELTS中心(ビザ用のUKVI版が必要な場合あり) | ビザ要件と連動することがある |
| オーストラリア | IELTS・TOEFLとも一般的 | ビザでIELTSが基準になりやすい |
| ニュージーランド | IELTS中心 | 英国型に近い |
イギリスやオーストラリアでは、学生ビザの英語要件と出願スコアが連動する場合があります。ビザ用に指定されたバージョン(IELTS for UKVIなど)が必要なこともあるため、出願前に確認しておきましょう。
どちらを受けるか迷う場合は、志望校が両方を認めているなら、自分が解きやすい形式で選んで構いません。TOEFLはPC操作とアカデミックな内容、IELTSは対面スピーキングと幅広い設問が特徴です。IELTSのスコア感をつかみたい場合は、次の記事も参考になります。
難関大の例(必ず公式で確認を)
難関大ほど要件は高く、セクション別の下限も設定されがちです。以下はあくまで一例で、学部・コース・年度で変わります。出願前に必ず各大学のadmissionページで最新の数字を確認してください。
| 大学・カテゴリ | 英語要件の一例(目安) |
|---|---|
| オックスフォード大学(higher level の一例) | IELTS 7.5(各セクション7.0)/iBT 110前後 |
| ケンブリッジ大学(コースにより) | IELTS 7.5前後(各7.0)/iBT 110前後 |
| アイビーリーグ(米・大学院の一例) | iBT 100+/IELTS 7.0〜7.5 |
これらは公開情報をもとにした目安です。同じ大学でも standard level と higher level で必要点が分かれたり、コースごとに最低点が違ったりします。一次情報の確認先は、各大学のadmissionページ、TOEFLはETS、IELTSはielts.orgやBritish Councilです。
「足切り点」と「授業についていける点」は別物
ここが留学準備で一番見落とされやすいポイントです。出願に必要な「足切り点(最低スコア)」を取ることと、入学後に授業についていける英語力は、別の話だと考えてください。

悪い例
出願の最低点ギリギリで合格し、入学後に講義・大量のリーディング・ディスカッションについていけず苦労する
良い例
最低点を超えても安心せず、授業で実際に使える英語力(速く読む・要点を書く・発言する)まで引き上げてから渡航する
「授業についていける力」とは、たとえば毎週100ページを超える課題図書をこなす読解スピード、講義を聞きながら要点をメモする力、グループワークで自分の意見を即座に言う力などです。足切り点は、この入口にすぎません。
足切り点は「土台」、授業についていける力は「その上に乗る運用力」と整理すると分かりやすいです。出願スコアはゴールではなく、留学生活のスタートラインだと捉えましょう。
TOEIC 980 / TOEFL iBT 106 / IELTS 7.5(CEFR C1)/ 海外MBA合格
セクション別の最低点という落とし穴
総合スコアが足りていても、セクション別の最低点で引っかかることがあります。たとえば「Overall 7.0、かつWritingとSpeakingは各6.5以上」といった条件です。
特に大学院や専門職コースでは、WritingやSpeakingに個別の下限が付くケースが目立ちます。総合だけを見て対策すると、得意な技能で点を稼いで苦手な技能を放置しがちです。その結果、総合は足りているのに出願段階で要件未達になることがあります。
英語で大量に書くコースはWritingに、対人のやり取りが多いコースはSpeakingに、それぞれ高い下限を設けることがあります。志望コースの性質と、求められる技能の下限はだいたい連動しています。
対策はシンプルです。出願候補校の要件を「総合」と「セクション別」の両方で書き出し、一番高い下限に合わせて全技能を底上げしておきましょう。
スコアが足りないときの3つの道
目標スコアに届かなくても、留学の道が閉ざされるわけではありません。主に3つの選択肢があります。
① 条件付き入学(Conditional Offer)
本体の課程に進む前に、大学付属の語学コースで規定の英語力に達することを条件として出される合格です。英語力以外の出願要件を満たしていれば狙えます。
② ファウンデーション/パスウェイコース
大学進学を前提にした準備課程です。英語と専門基礎をまとめて学び、修了後に学部や大学院へ接続します。期間や費用は増えますが、英語に不安がある人の現実的な選択肢になります。
③ スコアを上げて再出願
最短ルートに見えて、実は王道です。TOEFLもIELTSも複数回受けられるので、弱点セクションを集中対策して出し直します。費用はかかりますが、入学後を考えると一番力がつく方法です。
留学全体の費用感は留学費用の目安、英語そのものを学びに行く選択肢は語学留学もあわせてご覧ください。IELTSの目標設定はIELTSスコアの目安が参考になります。
TOEFL 2026新形式:1〜6バンドの読み替え
TOEFLは2026年の改定で、スコアの示し方が変わりました。これまでの0〜120点に加えて、1〜6の「バンド」が主軸になります。移行期(おおむね2028年まで)は、バンドと旧0〜120スコアが併記される見込みです。
出願要件がまだ旧スコア(例:iBT 80)で書かれている大学も多いため、当面は両方を理解しておくと安心です。おおまかな対応の目安は次のとおりです。
| バンド | 旧iBTスコアの目安 | CEFRの目安 |
|---|---|---|
| バンド6 | 114点〜 | C2(ネイティブに近い運用) |
| バンド5 | 95点〜 | C1(学術・専門の場で不自由なく) |
| バンド4 | 72点〜 | B2(専門分野の講義・議論を追える) |
バンドが便利なのは、単なる点数ではなくCEFR(国際的な語学力の指標)に対応していることです。ETSの新スコア体系ではバンドがCEFRに紐づけられており、CEFRは「何ができるか(can-do)」で語学力を表します。たとえばB2なら「専門分野の講義や議論を追える」、C1なら「学術・専門の場で不自由なく振る舞える」といった、実際にできることの目安になります。
つまりバンドは、足切り点をクリアしたかだけでなく、授業についていける力があるかを読み取る手がかりにもなります。TOEFLがReading・Listening・Speaking・Writingの4技能を測る試験である以上、数字の裏にある「できること」で現在地を捉えると、対策の優先順位も決めやすくなります。
これは目安であり、正式な換算は出願先やETSの案内に従ってください。バンドと旧スコアの対応は、大学や年度によって扱いが変わる可能性があります。TOEFLそのものの全体像やスコアの読み方は、次の記事で詳しく解説しています。

目標スコアへ向けた学習
目標スコアは、闇雲に受け続けても届きません。弱点セクションを特定し、そこに時間を集中させるのが近道です。
留学に必要な英語力は、読む・聞く・書く・話すの4技能の総合力です。なかでも独学でつまずきやすいのがスピーキングとライティングで、ここはアウトプットの「回数」と「フィードバック」がものを言います。
TOEIC 980 / TOEFL iBT 106 / IELTS 7.5(CEFR C1)/ 海外MBA合格
TOEFL対策をベースに英語の土台を作る考え方は、次の記事でもまとめています。
よくある質問(FAQ)
留学にはTOEFLとIELTSのどちらを受けるべき?回答例を見る回答例を閉じる
志望校が指定するテストに合わせるのが基本です。アメリカ・カナダはTOEFL、イギリス・オーストラリアはIELTSが使われやすい傾向があります。両方を認める大学も増えているので、まず志望校の要件を確認し、自分が解きやすい形式を選ぶとよいでしょう。
英検のスコアは留学で使える?回答例を見る回答例を閉じる
国内入試や一部の大学では使える場合がありますが、海外大学への出願ではTOEFL/IELTSが主流です。英検との違いや使い分けを知りたい場合は、関連記事も参考にしてください。
スコアはいつまでに取ればいい?回答例を見る回答例を閉じる
多くの大学で、出願締切から逆算して準備します。TOEFL/IELTSのスコアには有効期間(一般に2年)があるため、早く取りすぎると失効に注意が必要です。出願時期の半年〜1年前から計画的に受けるのが安心です。
- 留学に必要な英語力の目安は学部 iBT 61〜80/大学院 iBT 80〜100/難関 iBT 100+(IELTSは5.5〜7.5+)。あくまで目安です
- 出願の「足切り点」と授業に「ついていける力」は別物。足切り点+αを目指す
- 要件は大学・学部・年度で変わる。必ず公式(各大学admission・ETS・ielts.org)で最新を確認
- TOEFLは2026改定でバンドが主軸。移行期(〜2028年目安)は0-120スコアも併記される










