「留学したいけれど、結局いくらかかるの?」——留学を考え始めて、最初に立ちはだかるのがこのお金の問題です。ところがネットで調べると、数十万円から1,000万円超まで金額の幅が大きすぎて、かえって不安になります。
この記事では、留学費用の相場を国別・期間別・目的別に整理し、費用の内訳から為替の影響、抑える方法までを一気に見渡せるようにまとめました。読み終わるころには、自分のケースで「いくら必要か」をざっくり逆算できる状態を目指します。
- 語学留学なら1年で約250〜640万円が目安(国・滞在形態で変動)。短期1ヶ月なら15〜55万円ほど
- 留学費用は「出発前にかかるお金(試験・出願・渡航準備)」+「現地でかかるお金(学費・滞在・生活)」の2層で考えると整理しやすい
- 総額を大きく動かすレバーは【国・期間・滞在形態・現地での過ごし方】の4つ。ここを設計すれば費用はかなりコントロールできる
ここから先は、まず費用の全体像をつかみ、次に内訳を分解し、そのうえで国・期間・目的ごとの相場を表で比較していきます。金額はすべて「目安」であり、為替や時期、学校の選び方で上下する点を先にお断りしておきます。
留学費用の全体像|目的でレンジが大きく変わる
ひとくちに「留学費用」と言っても、何を目的にするかでレンジはまったく違います。ざっくり3タイプに分けて、年あたりの目安を押さえておきましょう。
- 語学留学(語学学校で英語を学ぶ):1年で約250〜640万円。短期なら数十万円から始められる
- 学部留学(海外の大学で学士号を取る):年300〜700万円、卒業まで3〜4年で総額1,000万円超になることも
- 大学院留学(修士・MBAなど):年400〜900万円。学費が高く、出願準備の費用も無視できない
なぜ同じ留学でこれほど金額の幅が出るのでしょうか。理由は、国・期間・学校のランク・滞在形態・生活スタイルという複数の変数が、それぞれ費用を上下させるからです。だから「留学はいくら」と一本の数字で答えるのは難しく、自分の条件を1つずつ当てはめて積み上げる必要があります。
同じ「留学」でも、語学留学と学位留学では桁がひとつ変わります。まずは自分がどのタイプかを決めてから予算を考えると、相場の数字に振り回されずに済みます。語学留学の進め方そのものは 語学留学とは何か でも整理しているので、あわせて参考にしてください。
留学費用の内訳|「出発前にかかるお金」と「現地でかかるお金」
留学費用を見積もるときに多くの人がつまずくのは、「現地でかかるお金」しか計算していないことです。実際には、出発する前にもまとまったお金が出ていきます。費用は次の2層に分けて考えると漏れがなくなります。

現地でかかるお金(6項目)
現地で発生する費用は、おおむね次の6項目に分けられます。総額の大半を占めるのは学費と滞在費です。
- 学費(授業料):語学学校・大学などの授業料。学位留学では最大の出費
- 滞在費:ホームステイ・寮・シェアハウスなどの家賃。都市で大きく変わる
- 渡航費:往復の航空券。時期と路線で数万円〜十数万円の幅
- 海外留学保険:病気・けが・盗難に備える保険。1年でおよそ15〜30万円が目安
- ビザ申請料:留学する国とビザの種類によって異なる(下記)
- 現地生活費:食費・交通費・通信費・娯楽など。生活スタイル次第
このうち、節約の余地が大きいのは滞在費です。滞在形態によって、毎月の家賃は次のように変わります。
- ホームステイ:食事付きで生活が楽だが、割高になりやすい
- 学生寮・学校寮:手続きが簡単で安心。費用は中程度
- シェアハウス・アパート:自炊と組み合わせれば最も安く抑えやすい
短期ならホームステイで現地生活に慣れ、長期なら途中からシェアに切り替える、といった使い分けも有効です。現地生活費も、外食中心か自炊中心かで毎月の出費が大きく変わります。
ビザ申請料は国ごとに差があります。あくまで目安として、アメリカは DS-160 と SEVIS 費を合わせておよそ $535 前後、オーストラリアはおよそ AU$2,000 前後、カナダはおよそ CA$235 前後です。イギリスの学生ビザは申請料に加えて医療付加金(IHS)がかかる場合があります。正確な額は変動するため、必ず各国の大使館や公式サイトで最新情報を確認してください。
出発前にかかるお金(見落としがち)
ここが、多くの留学費用の記事で抜け落ちがちなポイントです。出発する前にも、次のようなお金がかかります。
- 英語試験の受験料(TOEFL・IELTS・英検など。出願に必要なスコアを取るまで複数回受けることが多い)
- 出願料(大学・大学院に支払う application fee)
- エージェント・出願コンサルの費用(利用する場合)
- パスポート・各種証明書・健康診断などの準備費用
特に英語試験は、目標スコアに一度で届くとは限りません。受け直すたびに受験料がかさむため、ここを予算に入れておかないと、出発前に想定外の出費に追われます。
TOEIC 980 / TOEFL iBT 106 / IELTS 7.5(CEFR C1)/ 海外MBA合格
出願に向けてどの試験をどう受けるかは、費用にも直結します。TOEFL の申し込み方法や受験料は TOEFL の申し込みガイド に、試験そのものの全体像は TOEFL とは何か にまとめてあります。
【国別】留学費用の比較|アメリカ・イギリス・オーストラリアほか
ここからは、語学留学を例に国別の相場を見ていきます。下の表は、学費+滞在費を合わせた目安です。往復航空券・海外保険・ビザ申請料は含みません。円換算は為替で大きく変動する前提で読んでください。

| 国(通貨) | 1ヶ月 | 3ヶ月 | 1年 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| アメリカ(USD) | 35〜55万円 | 90〜160万円 | 350〜640万円 | 学費・生活費とも高め。都市による差が大きい |
| イギリス(GBP) | 35〜55万円 | 90〜150万円 | 350〜600万円 | ロンドンは家賃が高い。長期はビザが必要 |
| オーストラリア(AUD) | 30〜45万円 | 80〜130万円 | 300〜500万円 | 学生ビザで就労可。ワーホリ併用もしやすい |
| カナダ(CAD) | 28〜45万円 | 75〜130万円 | 280〜500万円 | 治安と環境のバランスが良く費用は中程度 |
| ニュージーランド(NZD) | 28〜42万円 | 70〜120万円 | 260〜450万円 | 自然が豊かで落ち着いた環境。費用はやや抑えめ |
| フィリピン(PHP) | 15〜25万円 | 40〜70万円 | 150〜250万円 | マンツーマン中心・寮費込みで最安級 |
| マルタ(EUR) | 20〜35万円 | 55〜95万円 | 220〜380万円 | ヨーロッパでは割安。英語が公用語の地中海の島 |
英語圏の定番であるアメリカ・イギリスは費用が高めです。コストを抑えたいなら、フィリピンやマルタが選択肢になります。フィリピンはマンツーマン授業と寮費込みで最安級、マルタはヨーロッパで英語を学びたい人に人気です。
ただし「安いから良い」とは限りません。生活費の物価、日本人の比率、治安、気候なども含めて、自分の目的に合う国を選ぶことが大切です。
また、表に載らない「隠れたコスト」にも注意しましょう。空港からの移動費、現地での教材費、SIM・通信費、学校が紹介する課外アクティビティの参加費などは、積み重なると無視できない金額になります。見積もりの段階で、こうした細かい出費の枠も少し取っておくと安心です。
【期間別】留学費用の目安|1週間〜1年
次は期間別です。同じ国でも、滞在が長くなるほど総額は増えますが、1ヶ月あたりの単価は下がりやすいのがポイントです。長期割引や生活の効率化が効くためです。下の表は英語圏の平均的な目安です。
| 期間 | 費用の目安 | 1ヶ月あたり | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1週間 | 8〜15万円 | — | 授業料と滞在費の割合が高い。観光寄りになりがち |
| 1ヶ月 | 25〜55万円 | 25〜55万円 | 短期語学留学の定番。ビザ不要の国が多い |
| 3ヶ月 | 70〜160万円 | 23〜53万円 | 学生ビザが必要になる境目 |
| 半年 | 150〜320万円 | 25〜53万円 | 生活リズムが安定し、伸びを実感しやすい |
| 1年 | 280〜640万円 | 23〜53万円 | 長期割引が効き、1ヶ月あたりは下がりやすい |
短期はお試しには良いものの、英語に慣れてきたころに帰国するため、費用のわりに伸びを実感しにくい傾向があります。一方で長期は総額が大きくなる代わりに、生活が安定し、英語に向き合う時間も増えます。期間は「予算」と「伸ばしたいレベル」の両面から決めるのがおすすめです。
【目的別】留学費用の比較|語学・学部・大学院・ワーホリ
目的別にもう一段くわしく見てみましょう。学位留学(学部・大学院)は語学留学とは桁が変わります。
| 目的 | 期間の目安 | 費用の目安 | 主な内訳・特徴 |
|---|---|---|---|
| 語学留学 | 1週間〜1年 | 年250〜640万円(英語圏) | 授業料+滞在費が中心。期間で総額が決まる |
| 学部留学(学士) | 3〜4年 | 年300〜700万円 | 学費が高く、卒業までの総額は1,000万円超も |
| 大学院留学(修士・MBA) | 1〜2年 | 年400〜900万円 | 学費に加え、試験・出願料など出発前のコストも大きい |
| ワーキングホリデー | 最長1年 | 初期30〜80万円+現地収入 | 渡航費と当初の生活費が中心。就労で補える |
学部留学では、学費が大学の種類で大きく変わります。一般に、現地の州立・公立大学は私立大学より学費が抑えめで、国によっては学費が無料に近い制度を持つところもあります。同じ国・同じ年数でも、どの大学を選ぶかで総額が数百万円単位で動くため、学校選びは費用設計の核心です。
大学院留学やMBAは、学費そのものが高いうえに、出願に必要な英語スコアや GMAT などの試験対策にも時間とお金がかかります。出願に求められるスコアの考え方は TOEFL スコアの目安ガイド を参考にしてください。TOEFL を使った留学準備の流れは TOEFL での留学準備 でも扱っています。
費用対効果を考えるうえで、見落としてはいけない視点があります。「現地で英語をゼロから始める」のと「ある程度の土台を作ってから行く」のとでは、同じ費用でも得られる成果がまったく違うということです。
悪い例
何の準備もせず短期の語学留学だけで終わらせる:現地で英語に慣れてきたころに期間が終わり、高い費用のわりに伸びが小さい
良い例
出発前に日本で英語の土台を作ってから行く:現地では実践と専門の学びに集中でき、同じ費用でも得られる成果が大きい
つまり、留学費用を最大限に活かす鍵は「現地で何をするか」だけでなく「出発前に何を済ませておくか」にあります。この視点は、後ほど「費用を抑える方法」でもう一度取り上げます。
円安・為替が留学費用に与える影響
留学費用を見積もるときに忘れてはいけないのが、為替の影響です。学費も滞在費も現地通貨で発生するため、円安が進むと、同じプログラムでも日本円での負担が増えます。
為替の動きしだいで、総額は10〜20%ほど上下することも珍しくありません。たとえば1年で400万円を見込んでいた留学が、円安によって40〜80万円増える、という事態は十分に起こり得ます。
そのため、予算には1〜2割のバッファを持たせておくと安心です。為替は自分でコントロールできないので、「最悪のケースでも払えるか」を基準に資金計画を立てましょう。送金のタイミングを分散したり、現地口座をうまく使ったりして、為替変動の影響をならす工夫も有効です。
加えて、海外送金には手数料や為替スプレッドがかかる点も見落とせません。学費をまとめて送るときは、送金手数料の安いサービスを比較するだけで、数万円単位で差が出ることもあります。クレジットカードの海外利用手数料も含めて、「お金をどう動かすか」までセットで考えておくと、ムダな出費を減らせます。
留学費用を抑える方法|奨学金と「出発前の準備」
最後に、留学費用を現実的に抑える方法を整理します。やみくもに我慢するのではなく、使える制度と仕組みを知っておくことが第一歩です。
- 奨学金を活用する:日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度や、官民協働の「トビタテ!留学JAPAN」など、返済不要の給付型もあります。募集時期・条件は年度ごとに変わるため、早めに公式情報を確認しましょう
- 交換留学を選ぶ:在籍する大学の協定校に行く交換留学なら、自校の学費で留学できる場合があり、私費留学より大幅に安く済むことがあります
- 滞在形態を工夫する:ホームステイ・寮・シェアハウスで費用は変わります。長期ならシェアや自炊でぐっと抑えられます
- 物価の低い国を選ぶ:フィリピンやマルタなど、費用を抑えやすい国から始める手もあります
そして、見落とされがちですが効果が大きいのが「出発前に日本で英語力を上げて、留学期間を短縮する」という方法です。
留学費用の大半は、期間に比例して増えていきます。現地で英語の基礎からやり直すと、その分だけ滞在が長引き、費用も膨らみます。逆に、出発前に話す・聞く土台を作っておけば、現地では実践に集中でき、より短い期間で目的を達成できます。これは結果的に、もっとも確実な節約になります。

独学で話す力をどう積み上げるかは 英語スピーキング独学ガイド にロードマップをまとめています。また、出願にどの試験を使うか迷う場合は、目的に合った試験選びの観点も押さえておきましょう。
留学費用に関するよくある質問
留学費用は何ヶ月前から準備すればいいですか?回答例を見る回答例を閉じる
学位留学なら1〜2年前、語学留学でも半年前には資金計画を立て始めると安心です。英語試験は目標スコアに届くまで複数回受けることが多く、出願や奨学金の締め切りも早めに来ます。出発間際に慌てないよう、「試験 → 出願 → ビザ → 渡航準備」の順でスケジュールを引き、各段階の費用を先に洗い出しておきましょう。
一番安く留学できる国はどこですか?回答例を見る回答例を閉じる
英語圏の語学留学に限れば、フィリピンが最安級です。マンツーマン授業と寮費込みで、月15〜25万円ほどが目安です。ヨーロッパで英語を学びたいならマルタも費用を抑えやすい選択肢です。ただし金額だけでなく、物価・治安・日本人比率・学びたい英語の種類も含めて、自分の目的に合うかで選ぶことが大切です。
費用が足りない場合、奨学金やローンはありますか?回答例を見る回答例を閉じる
返済不要の給付型奨学金として、日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度や「トビタテ!留学JAPAN」などがあります。在籍校独自の奨学金や、金融機関の教育ローンを併用する人もいます。いずれも募集時期・条件・金額は変わるため、必ず公式の最新情報を確認し、複数の制度を早めに比較しておきましょう。
費用を抑えると、留学の質も下がりませんか?回答例を見る回答例を閉じる
必ずしもそうではありません。費用が下がるのは、主に物価の安い国を選んだり、滞在形態を工夫したりした場合で、学びの中身が薄くなるわけではないからです。むしろ、出発前に英語の土台を作って現地での実践時間を増やせば、同じ費用でも得られる成果は大きくなります。「安く済ませる」より「ムダを削って濃くする」と考えると、節約と質は両立できます。
円安のとき、留学は見送ったほうがいいですか?回答例を見る回答例を閉じる
為替だけで判断する必要はありません。為替は読みにくく、待っているうちに学びたい時期を逃すこともあります。それよりも、予算に1〜2割のバッファを持たせる、出発前に英語力を上げて期間を短くする、といった「自分でできる対策」で為替の影響を吸収するほうが現実的です。タイミングよりも準備で差がつきます。
まとめ|留学費用は「出発前+現地」で見積もる
留学費用は、相場の数字を眺めるだけでは不安が募るばかりです。大切なのは、自分のケースに引き寄せて「2層」で見積もることでした。
- 語学留学1年で約250〜640万円が目安。短期や物価の低い国なら、もっと抑えられる
- 費用は「出発前にかかるお金」+「現地でかかるお金」で考えると、見落としがなくなる
- 総額を動かすのは【国・期間・滞在形態・現地での過ごし方】の4レバー。なかでも、出発前に英語の土台を作って期間を短くするのが、もっとも確実な節約
数字はすべて目安であり、為替や時期、学校選びで変わります。まずは目的とおおよその予算を決め、そこから国・期間・滞在形態を設計していきましょう。出発前の準備を前倒しするほど、留学そのものをより安く、より濃いものにできます。









